COLUMN元島民コラム

2020/08/25丸山 了 「軍艦島の灯の名残り」


軍艦島の灯の名残り


丸山さんコラム



私の母方の祖父が住んでいた3号棟社宅は
端島の一番高い所にあり
そして端島の真ん中に建っていた。
高台に建っているので、もちろん展望はいい。
ベランダから見える景色は、真下に鉱業所の作業場が見え
さらに眼の前には紺碧の海が広がる。
そして、その奥にはなだらかな山々が連なる野母半島が見える。
将にいい眺めだ。

この3号社宅が他の社宅と作りがちがうところは、部屋数が多いことと
社宅内に風呂が設置されていることである。
このお風呂、私も子供の頃入ったことがある。
社宅の共同風呂とちがって一人じめのお風呂は格別。
そして、この社宅では奇妙な光景が見られる。


それは私が小学生の時、

祖父の家に泊まった夜のこと。
夜中に眼を覚ますと、真っ暗な室内が数秒だけうっすらと明るくなり
ふたたび暗くなる。
室内が一分足らずで又うっすらと明るくなる謎の暗転を繰り返す。
光の正体が何であるのか、まったく理解ができなかったが、
しばらくするとその光が窓の外から差し込む光だと気がついた。
窓の外を見ると野母半島の南端にある樺島灯台の
灯が窓内を照らしていたのだ。
私は灯台からの一筋の光をしばらく眺めていた。
そして奇妙な暗転を繰り返す室内をぼんやりと眺め、
そして布団の上で仰向けに寝てみた光景はより奇妙であった。



灯台から差し込む微光による光景は

六十年前の出来事であるが、灯台からの灯は何故か
鮮明に記憶として残っている。
あの灯台の灯は暗闇の中で沈黙する軍艦島を今でも照らしているのだろうか。







丸山さんコラム






丸山 了

昭和24年2月26日生まれ

生まれてから昭和42年の高校卒業まで軍艦島で過ごす。
坑夫の父を持ち、両方の祖父も炭坑夫だった。
住んでいたアパートは、16号棟、18号棟、65号棟。
当時は学生で、遊び・イベントなど色んなことを軍艦島で経験する。
軍艦島は「青春の場所」と話す。

コラムは2度目の投稿。
前回のコラムページはこちら
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