COLUMN元島民コラム

2018/11/09内田 正克「昭和館」

軍艦島(端島)に「昭和館」という

昭和2年に建造された中二階がある映画館が有った。

この映画館はアルデコ調(アール・デコ)の建物で日本では珍しいんだよ・・

と父が言っていた。

(おでこが有る?)子供の僕にとってはなんのことやら〜


端島では福利厚生が重視され、炭鉱では24時間の3交代勤務で

日中は暇な人が多いため、映画館は満員に近い賑わいをみせていました。

映画のフィルムは福岡から直送され上映されたので、

長崎市内よりも早く封切されることが多く、

新しい映画をみるために島外からわざわざ訪れる映画ファンもいたそうです。


「昭和館」は、映画は勿論、演劇やコンサート

それに社員による演芸会も行われ、

「NHKのど自慢素人演芸会」(後「NHKのど自慢」)の会場にもなりました。

当時としては音響設備効果は抜群だったと放送局の係の人はいっていたそうです。

上演は昼夜2回でしたが、時化で船が通わないときは、

3日も4日も同じ映画を上映していたことを思い出します。

入場料は大人30円小人10円だったと思います(記憶違いかも)


その「昭和館」は端島の北西部しかも岸壁の直ぐそばに位置し、

海が少しでも時化ると10メートルの護岸を超え高波が映画館を襲う。

スクリーンでは静かな海辺で男女が恋をささやくシーンなのに、

突然館内に広がるザブーンという大きな波の音。

観客の笑いを誘うこともあった。

そして、涙のシーンでもクライマックスの場面であっても

館の係りの人が両手でメガホンのように口に当て

「○○課の××さん、直ぐ職場に戻ってください」と甲高い声で叫ぶ。

事故でも有ったのだろうか

場内が少しザワめく、、暗がりの座席から立ち上がる影が見える。


私の父も例外ではない。

「お前はしまいまで見ていなさい」と言って、

スクリーンを振り返りながら出て行った。

その後のストーリーを話すのが、僕の役目であった。


1948年(昭和23年)

軍艦島《端島》を題材にした映画「緑なき島」が主演・佐野周二(関口宏さんの父)

幾野道子らでクランクイン、翌年全国ロードショーされて話題になった。

勿論、全国に先立って「昭和館」で試写会があり

学校から引率されて見に行ったのは言うまでも有りません。

ストーリーは全然覚えていませんが、

撮影された場所や知った人がエキストラで出てくると、

スクリーンに向かって指をさしたのを覚えています。



「昭和館」も昭和45年(1970年)に閉館され

そして、4年後の昭和49年に終掘し、

明治23年以来85年、1,650万トンを出炭した軍艦島も閉山となりました。

うちださま

うちださま


内田 正克 プロフィール

昭和11年8月23日 長崎市生まれ

昭和16年から昭和27年(小学校卒業)まで端島で暮らす

現在は大阪府在住





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